街道歩きで出会う神様について 古事記と日本書紀

街道歩きで出会う神様について 古事記と日本書紀 訪れた神社仏閣

旧街道歩きで出会う神社や寺院、由緒など知らないことが多く神社の種類や寺院の宗派など調べてみましたが新たな疑問?「記紀」という言葉に行き当たりました。

「記紀」?これは天武天皇の命によって編纂が開始された「日本書紀」と「古事記」のことでした。ヤマタノオロチやヤマトタケル、因幡の白うさぎなどが薄っすらと記憶が浮かびますが、遠い昔に流し読みをした程度でほぼ記憶にありません。

本棚の積読本に、地図とあらすじでわかる!「古事記と日本書紀」、「天皇125代の歴史」があったので参考にして少し調べてみることにしました。これで更に街道歩きが楽しくなることでしょう。

参考にした本
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古事記と日本書紀の概要について

古事記

神社の由緒書きに出てくる神様の名前やエピソードは古事記がベースのものが多く、古事記は日本最古の「物語」「神々のドラマを描いた、国内向けのストーリーブック」といわれています。

成立は712年で全3巻、稗田阿礼(ひえだのあれ)が暗唱、太安万侶(おおのやすまろ)が編纂。

特徴としては、物語性が高く、神様たちが怒ったり、泣いたり、恋をしたりと、非常に人間臭くドラマチックに描かれています。読んでいて面白いのは断然こちらです。

「なぜ今の天皇家が日本を治めているのか」を国内の豪族たちに納得させるために書かれたもので、天皇家の正統性を主張しています。神代(神話の世界)から推古天皇(人間中心の歴史)までが書かれています。

解読困難だった古事記を江戸時代の国学者「本居宣長」が35年かけて注釈書「古事記伝」を完成させたことで、後世の国学や日本古典研究に絶大な影響を与えているそうです。

日本書紀

日本初の「正史」、「外国(中国)に見せるための、公式な歴史レポート」。成立は720年で全30巻、古事記の8年後になります。皇親、官人、12名により編纂、舎人親王(とねりしんのう)が奏上。

特徴としては、事実の記録として、年月日を細かく記した、カチッとした歴史書。対外向けで、当時の大国である中国(唐)や朝鮮半島に向けて、「日本もあなたたちと同じように、ちゃんとした歴史と文化を持つ独立国家ですよ」とアピールするために漢文で書かれ、神代から持統天皇までが書かれています。

古事記と日本書紀の違いについて

「一書(あるふみ)に曰く」の有無
これが最大の違い。古事記は「こうでした!」と言い切り、ストーリー重視のため、矛盾する話はカットされています。日本書紀は「Aという説がある。しかし、別の書物にはBとも書いてある」というように、異説をたくさん載せています。歴史学者にとっては日本書紀の方が資料価値が高いとされる理由です。

神様の名前が違う
同じ神様でも、表記が異なります。旧街道の神社で御祭神(ごさいじん)をチェックする時の楽しみになりそうです。
スサノオは(古事記)建速須佐之男命 ⇄ (日本書紀)素戔嗚尊
オオクニヌシは(古事記)大国主神 ⇄ (日本書紀)大己貴神(おおなむち)

ラストシーンが違う
古事記は推古天皇(554年~628年没)の時代で終わっており、古代の神話的要素が強い時代で筆を置いています。日本書紀は持統天皇(645年~702年没)まで書かれており、より現代(当時の)に近い政治情勢までカバーしています。

古事記に出てくるお話について

古事記は「天皇家のプライベートな歴史物語」という側面が強いです。神様が完璧な存在ではなく、失敗したり、嫉妬したり、恋に狂ったりします。そこが日本人の感性(情緒)の原点とも言われています。

上巻は神々の物語
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・イザナキとイザナミの誕生
・黄泉の国への旅立ち
・アマテラスとスサノオ
・天の岩屋戸
・ヤマタノオロチ退治
・国つ神・オオナムチの誕生
・オオクニヌシを名乗るオオナムチ
・高天原の神々の要求
・オオクニヌシの国譲り
・ニニギの降臨
・海幸彦と山幸彦

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そして、中巻は初代神武天皇から十五代応神天皇の出来事で、あのヤマトタケルが登場。下巻は十六代仁徳天皇から三十三代推古天皇までの出来事が収められています。

神々の物語は私たちにも聞き覚えのあるお話。思い出していただくために、いくつかスーパーザックリにご紹介します。登場人物の夫婦や親子関係など相関を私感で超ザックリ図にまとめてみました。登場人物がとにかく多いので相当混乱します、苦肉の策です。

赤のライン初代神武天皇までの系譜

イザナギとイザナミの「黄泉の国への旅立ち」

黄泉の国から逃げるイザナギ ぶどう
黄泉の国から逃げるイザナギ タケノコ
黄泉の国から逃げるイザナギ 桃

火の神「ヒノカグツチ」を産み落とした際、火傷で命を落としてしまった妻(イザナミ)夫(イザナギ)は連れ戻すため、死者の国へ行きます。そこで「決して私の姿を見ないで」と言われますが、約束を破って見てしまいます。

そこには腐敗した恐ろしい妻の姿が……。激怒した妻が追いかけてきますが、ぶどう・タケノコ・桃などに助けられ(何故かは物語をご覧ください)、恐怖のホラー展開を経て、最後は巨大な岩で道を塞ぎ、永遠の別れを告げます。

最初からこの神話とは思えない話、思わず引き込まれてしまう古事記。鶴の恩返しを彷彿とさせる「見るなと言われて見てしまう」問題は親しみやすい話でハードルがぐっと下がりました。

ヤマタノオロチ退治 スサノオ

ヤマタノオロチにおびえる親子
ヤマタノオロチを退治

父からは勘当、姉のアマテラスに別れの挨拶に行くが誤解され、アマテラスは岩屋に身を隠してしまう。このような失態をさらしたスサノオは高天原を追われます。

地上に降り立ったスサノオは出雲国で怪物「ヤマタノオロチ」におびえる親子に出会います。八つの頭と八つの尾を持つオロチを強い酒を造らせ退治、生贄に捧げられそうになっていたクシナダヒメを妻に娶り、尾から出てきた神秘の剣をアマテラスに献上。これが草薙の剣、後に岩屋伝説の八咫鏡と八尺瓊勾玉とともに三種の神器として崇められることに。

聞いたことがあったこの話も、なぜ高天原を追われたのか、草薙剣や三種の神器のことなど今更ながら関係をつなげて理解できるのですっきりという感じと同時に、スサノオの豪快さは何を比喩しているのか?と少々悩みも増えました。

国つ神・オオナムチの誕生・・因幡の白兎

サメをだまして島から渡るウサギ
皮を剥がれて泣くウサギ

島から渡る際、ワニ(サメ)をだまして皮を剥かれたウサギが痛くて泣いている。稲羽のヤカミヒメに求婚に行く八十神と呼ばれる神々から偽りの治療法を教わり症状は悪化、最後についてきたオオナムチから真水で体を洗いガマの穂に包まるよう教わり元の身体に。

ウサギの予言によりヤカミヒメオオナムチに嫁ぐと宣言するが兄たち(八十神)の怒りをかう。母神の助けもありクリア。その後スサノヲの試練も受けるが相愛となったスサノヲの娘スセリビメの助けもありクリア、スサノヲからオオクニヌシと名乗るよう命を受け、地上の王としての力も手に入れ出雲を平定、国つ神として君臨することになる。なお、この大国主命は七福神の大黒天と同一視されています。

因幡の白兎、うさぎを助けた話しか知らなかったのですが、これはあくまで始まり。うさぎを助ける経緯やその後の壮大なストーリーを知って驚きました。何よりオオクニヌシがこれほどプレイボーイだったとはってことで二度驚きです。

天孫降臨

天孫降臨

高天原から地上(葦原中国)の「日向(ひむか)の高千穂の峰」に天降り、国の統治を始めたという出来事が天孫降臨です。メンバーは、主役の瓊々杵尊(ニニギノミコト)と、5柱の神々(五伴緒(いつとものお))。

アメノコヤネノミコト、フトダマノミコト、アメノウズメノミコト、イシコリドメノミコト、タマノヤノミコト。彼らは天照大御神から三種の神器(八咫鏡、八尺瓊勾玉、草薙剣)を授かり、高天原から日向の高千穂峰に天降りました。先頭で道案内をしているのがサルタヒコで道路や旅行の安全を守る神様として知られていますね。

この他にも、みなさんご存じの「天の岩屋戸」「海幸山幸」、出雲が舞台の「天孫降臨」、初代天皇「神武東征」など興味深い話が満載。そして、これら登場人物やこの後の天皇が神社には祀られており、より身近に神社参拝が感じられるようになりそうです。日本書紀にも興味深い話がたくさんありますので、またの機会にご紹介してみたいと思います。

天の岩屋戸
神武天皇の東征

古事記が歴史に与えた影響について

最後に古事記が歴史に与えた影響について考えてみたいと思います。古事記は、国学の成立と発展において根本的な典籍としての役割を果たしました。国学は、儒教や仏教といった外来思想の影響を排し、日本の古典を研究することで、古代日本の精神や文化、そして天皇を中心とする国家のあり方を明らかにしようとする学問。国学の四大人の一人である賀茂真淵や、特に本居宣長は、『古事記』を研究の対象とし歴史に名を残します。

また、明治維新にも関わる政治思想への影響として、尊王攘夷運動の思想的背景となり、天皇を中心とする政治体制(王政復古)の実現に大きな影響を与えています。

本居宣長
薩長同盟 尊王攘夷から倒幕へ

国学以外にも与えた影響は多岐にわたり、日本の文学、神道・信仰、そして国民の精神性や文化の形成に決定的な役割を果たします。文化・精神面への影響としては 信仰と神社の形成があります。神社の祭神には『古事記』に登場する天津神や国津神(アマテラス、スサノオノ、オオクニヌシなど)は、現在に至るまで多くの神社の祭神として祀られており、街道沿いに神社にも多く祀られています。

会社や私生活に追われ身の回りのことで精一杯、日本の国のことを考えたことは正直あまりありませんでした。神話や代々続く天皇を知ることで、日本は素晴らしい歴史を持つ国であることを痛感させられました。この歳になっても、まだまだ知らないことがたくさんあります。神社仏閣訪問の心得としても、古代史や国学など更に学んでいきたいと思った次第です。

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