シニアも学ぼう テクノロジー  その1 メタバースとWeb3 国光宏尚

シニアも学ぼう テクノロジー  その1 メタバースとWeb3 国光宏尚 シニアの参考書
photo by ゆう

昭和から平成と変化が激しい時代を歩まれたシニアのみなさまは、厳しい受験戦争のみならず社会に出てからも会社のため、仕事のため、お金のために多くの事を勉強されてきたことと思います。
定年退職後の今でも勉強が終わったわけではありません。
人生100年時代、まだまだ現役で働かれている方も多く日々精進されていることと存じます。

時代は変わりドンドン便利な事が増える一方で、新しい事を学び実践しなければ時代についていけないことも多く出てきました。テクノロジーの進歩はすさまじく、新しい技術を知らないで過ごす手はありません。
シニアが新しいテクノロジーの使い方を習得することは残りの人生を素晴らしいものにしてくれるはず。
大切なのは好きなことやおもしろいことを探求すること。
現役の時とは目的が違い楽しむための勉強でありたいですね。

「シニアも学ぼうテクノロジー」では「小説に学ぼうシリーズ」と同様に、気になった箇所を取り上げて課題を抽出したり感じたことを述べさせていただきます。
本の要約は他に多くの紹介記事がありますのでそちらをご参照頂ければと存じます。

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メタバースとWeb3 国光宏尚

「バーチャルファースト」で起こるビジネスチャンスに乗り遅れるな。
これまで主がリアルで従はバーチャルでしたが、主がバーチャルに変わる。
理解すべきはメタバースとWeb3。
「アフターデジタル」を藤井さんとの共著で上梓された尾原さんは国光さんは20年後の未来を生きていると仰っています、未来に生きている人だけに見える世界があると。

生活・行動・産業を根底から変えていくバーチャルファースト、DX時代が成熟期に入りネットがすべての生活の中心になるその日はすぐそこかもしれません。
そんな次世代の社会がどのようなものか、世界はどこに向かって行くのかを学べるのが本書です。

どれも知っておくべき興味深い内容ばかりですし、基本的なことを用語説明も含めて優しく解説されていて、入門書としても最適だと思います。ぜひ本書を手に取ってご覧になってみてください。

新しい事ばかりなのでシニアライフハックでは基本的なことを見ていきたいと思います。

著者の国光宏尚さんは、株式会社 Thirdverse 代表取締役CEO、およびフィナンシェ代表取締役CEOに就任。2021年9月よりgumi cryptos capital Managing Partnerに就任。
Web3、DeFi、NFT、DAO、メタバースとVRとブロックチェーン領域でグローバルで通用するユニコーンを増やす取り組みに力を注がれています。

本書の構成は下記の通り
INTRO                         メタバースやWeb3がバズった本当の理由
CHAPTER1                   これまでの流れを知ると、Webが行きつくゴールが見えてくる
CHAPTER2                   メタバースとは何か?
CHAPTER3                   次世代インターネットWeb3を徹底解説
CHAPTER4                   メタバースとWeb3が辿り着く未来の姿
LAST CHAPTER         メタバース、Web3の事例から見るビジネスチャンス

2021年8月、GAFAの時価総額が日本株時価総額を逆転するという衝撃的なニュースが世間を騒がせました。これらテックジャイアントが急成長したのはこの数十年という短い間です。

ゆう
ゆう

平成元年のバブル期、世界時価総額ランキング上位20社中14社を日本企業が占めていた時代を知るシニア世代にはショッキングな事実だったのではないでしょうか。

GAFAはご存じの通り、google、apple、facebook(meta)、Amazon。デジタルやデータを活用してサービスを提供し、小売りと広告の革新を行いプラットフォーマーとして市場を支配してきました。
更に金融や保険など幅広い業種に進出してきています。
しかし、これらは成熟化し閉塞感が出始めています。目指すはバーチャルファーストな時代。

メタバースとはなにか

いま、みなさんが目にするメタバースですが、これはVR、AR、MR、XR、ミラーワールドのリブランディングと言い切っていいでしょう。

p57

そもそもメタバースという用語は、「超越した」という意味を持つ「メタ(Meta)」と、「世界」という意味を持つ「ユニバース(UNIVERSE)」を組み合わせた造語(Metaverse)です。

p58

メタバースはそれを単独で理解するというよりもWeb3関連の事象と共に捉えること、俯瞰的に見ていくことが理解するうえで大切だと述べられています。

いきなりVRやARという単語が出てきますが、まずはこれらについて理解する必要があります。
数年前から聞かれるようになってきた言葉ですが、これら技術が発展してきたからこそメタバースを取り巻く未来が加速しているということです。
本書はこれら言葉の意味も解説されていますので理解が大きく深めることが出来ます。

SF小説では現実世界とは異なる空間を共有し、あたかも別世界で生活するような姿が描かれており、それが意味するところは現実の超越であり時間と空間を含む多種多様な可能性。

これこそがメタバース界隈の人たちが目指すところでなないでしょうか。

メタバースが私たちの生活に浸透していくのか、そのロードマップには序章でも記載した通り、次の3つにステップがあります。
世界中のゲーマーを取り込めるか
② タブレットやPC市場(職場や学校)を取り込めるか
③ ポストスマホ(ARグラス分野)

p62

VR関連でハードが1億台という規模が3年以内に、この規模が達成されれば、まずゲーム業界としては魅力ある市場になるそうです。

次にキーになるのがタブレットやPC、職場や教育現場で「マストハブになる」ことが重要ということ。
教育分野では紙で見るよりVRのほうがわかりやすくなるとも。
教育よりゲームにお金を出す投資家は多いが、メタ社を中心に推進していく流れに。

ポストスマホではARグラスの分野になり各社リリース予定で定着までは3年ほどとみていますが、仕事や生活スタイルはガラッと変わるでしょうと述べられています。2025年~2026年がVR元年か。

メタバース

現在のリアルの友人とつながるSNSとは違って、リアルとは別の人格で別のコミュニティの世界を体験できる新しい世界は大きな可能性を感じます。趣味だけでなく仕事の領域でも見識が深まるし、今まで気づかなかったもう一人の自分に出会える気もしています。

リアルの世界は学歴や肩書、容姿など多くのしがらみもあり大変ですが、その中で築いてきた自分のアイデンティティーもあります。
今後の課題も同時に出てくるかもしれません。


VRとブロックチェーンがともに大事なのは、リアルの世界をバーチャルで置き換えていくために必要だからです。これらの実現に右脳的な感覚、センス・オブ・プレゼンスという実在感が決定的に重要です。

p72

ZOOMなどのリモート会議に利便性を感じた方は多いと思いますが、リモート飲み会をやってもピンとこなかった方が多いのではないでしょうか。
私もそのひとり、リアルの飲み会とはまったく空気感が違うんですよね。

これは解像度とレスポンスの問題で左脳的な言葉でのコミュニケーションはできても、右脳的な感覚的なコミュニケーションはZOOMでは無理なことが原因ではとのこと。この部分をVR、ARが解決していくことでバーチャルでもノンバーバルなコミュニケーションが可能になり人間関係が築けるようになる、そしてバーチャル空間に経済圏を作っていくことになると述べられています。

実在感を感じることができるようになるバーチャル空間、複数の外見、複数の性格、複数のコミュニティを自分自身が選んで生きていく社会、そんな自由な社会が来ることを考えてみることも大切なのかもしれません。

Web3とは何か

國光流のシンプルな定義として、仮想通貨、暗号資産、ブロックチェーン、クリプト・・・、これらをリブランディングしたのがWeb3です。

p84

最近よく耳にするWeb3、これらをリブランディングしたといわれても単語の意味もよく分からないし、Web3ということは1と2もあるわけでそのあたりから整理しないと理解は深まりません。

ゆう
ゆう

われわれシニアはポケベル、ワープロ、ファミコン世代。マッキントッシュ、Windows3.1から95、パソコン通信によるテキストメールなどを使いこなしてきたビジネスマンです。

デジタルネイティブと呼ばれている世代よりある意味、大きなギャップを乗り越えてデジタルと共に成長してきた感もあるのではないでしょうか。本書で述べられているWebの流行の歴史を確認してみましょう。

まず「Web1(1.0)」とは、インターネットが普及し始めた初期段階を指すのが一般的で、情報の発信者と受け取り手がはっきりと分かれていた時代のことをいいます。つまり、ユーザーは情報をただ受け取るだけで、ニュースサイトを見たり、ホームページをみたり、Readの時代でした。

p84

その次に来たのが「Web2(2.0)」です。
2005年ごろから語られることが急激に増えた新しいインターネットの形で、UGCが一般化した時代です。ブログに加え、皆さんが日常で使っているSNS、動画共有サービスなどの普及により、Readだけの時代からRead+Writeの時代になりました。

p85

これに対してWeb3では、所有する権利がユーザーに戻り、自分のデータは自身のものとして持てるようにする動きが加速しているのです。

p87

このように整理されると分かりやすいですね。
Web1はReadの時代、思えばパソコンのブラウザを開くとYahooがブックマークされニュースや娯楽、トレンド情報は新聞やテレビ以外の情報源としてインターネットを使い始めた時代でした。ヤフオクなんていうのも登場し狙ったものを競り落とすことに一時夢中になったものです。この時点で時代が大きく変わったことを実感した方も多いのではないでしょうか。

そしてWeb2はRead+Writeの時代、いつからかPCのブックマークもYahooからfacebookに変わりました。
SNSに投稿、そして初めてのレスポンス、あのドキドキ感は今でも覚えています。
自分の意見や考え、日常の出来事を公に発信するなんて考えもしなかったことです。ましてや一般の方が制作した動画をYoutubeとして家庭のテレビで見るようになるなんて想像もできませんでした。
※UGC(User Generated Content)ユーザー生成コンテンツ

その一方で、GAFAMといわれる5社に依存する流れは着実に積みあがってきたことも改めて考えさせられる現状であります。日用品や本をはじめ、季節やイベントの贈り物、最近は衣類も試着なしで購入することに抵抗もなくなりお店に行く機会もすっかり減りました。
ECサイトへの依存率は増える一方です。それもPCではなく、スマホで事足りるという時代。
これらIT大企業がプラットフォーマーとしてデータを独占している歪な状況からの脱却がテーマとして出てくるのは必然です。

Web3で所有する権利がユーザーの手に戻るとはどうゆうことでしょう?
これはプラットフォームに依存しなくても情報の受発信ができるようになったということ。


ブロックチェーンの技術だからこそ出来たサービス。
例えば既存のシステムに乗っかるだけだったフィンテックサービスに対して、何の既存の仕組みの上にも乗っていない新しい通貨ビットコインが登場、その後イーサリアム、DeFiという概念が登場しNFTやDAOへとつながってきたわけです。

Web3の未来がどうなっていくのか。それを考える上で重要なのがブロックチェーンにしかできない、ブロックチェーンならではの特徴を考えることです。
私は大きく次の三つの特徴があると考えています。

トラストレス×自律的×非中央集権
② NFT
③ DAO

p91

信用を担保する主体がなく、一人ひとりが参加するネットワークがサービスの基盤となっていること。

ビットコインを例にすると 法定通貨の場合は政府や中央銀行がその信用を保証していますがビットコインは信用を担保する中央集権的な担保はありません。ビットコインの信用保証は多くのマイナーがマイニングする形で行っているのですが、自らの利益のために自律的かつ非中央集権的に動いています。これを可能にしているコア技術がブロックチェーン、中間のプラットフォーマーが不要となります。

NFTはブロックチェーン技術を用いデータ自体に誰が作ったか、所有者は誰かなどの情報が刻まれることで価値が保証されます。

所有権の証明ということです。デジタルデータの作品が売買されるとオリジナルの作者にマージンが還元されることも可能になりますのでクリエーターにとっては革命的なこと。

情報のインターネットの時代からデジタル空間に価値を載せることができる「価値のインターネット時代」が到来というわけです。クリエーターファーストの時代で大きく価値観や時代が変わっていく予感が。

これら自律分散型組織はDAOと呼ばれ、プロジェクトにかかわったすべての人がメリットを享受できるような仕組みであるということです。インセンティブの考え方も大きく変わろうとしている興味深い取り組みですね。

サラリーマン人生を組織人として過ごしてきたシニアにとっては自律分散型という言葉に不安定さを感じる方が多いのではないでしょうか。

ゆう
ゆう

それだけ会社依存型の生活をしてきたということですが、組織の良さや強み、メリットを享受してきたのもシニアの我々です。既存の組織との合わせ技でいいとこどりは出来ないもの物でしょうか。新しい価値観を世代を超えて共有することは大切なことです

まとめ

本書のお陰で、基本的言葉の意味や時代背景についてはよく理解できました。
今から30年近く前のWindows95発売の行列やインターネットが普及しはじめて初めてECサイトで買い物やネットオークションを体験した新鮮な気持ち・・・今回あの頃の思いが再燃しつつあります。

まだまだ机上の世界ですから更なる知識を得るために関係書籍を読んでみることと、あとは実践ですね。
お試しレベルで構わないので、次の事を試してみたくなりました。
・メタバース空間への訪問
・自分のメタバース空間を作ってみる
・仮想通貨を使ってみる(ウオレットを持つことが必要らしい)
・NFTを購入したり登録したり関りを持ってみる

・メタバース関連株を購入して勉強する

まずは自らやってみて新しい世界がどのようなものなのか?これからどうなるのか?
過去は振り返るなとも言われますが、ここはシニアならではの経験値や勘も活かして、来る未来を考察していきたいと強く思った次第です。
シニアだってテクノロジー。楽しい老後になりそうな予感です。

新しい世界ではいくつもの顔を持てるし、会社という枠を超えたいくつものプロジェクトに参加出来るし、収入源も複数持てる。個人コンサルのような立ち位置も作れそうですから、やる気と能力がある人には非常に魅力的な世界であることは間違いなさそうです。
個を活かせる多様性の社会がやってきたということなのかもしれません。

ゆう
ゆう

百聞は一見にといいますので、先に述べたメタバース空間での体験や制作、NFTの購入販売など手掛けてみながら、他の書籍も読んでみて情報と増やして理解を深めていくことが必要です

まだまだ聞きなれない言葉も多いし、自ら体験してみないと分からないことばかり。
このシリーズはしばらく続ける必要がありそうですね。
次回は、佐藤航陽さんの「世界2.0 メタバースの歩き方と創り方」を読み解いてみたいと思います。

新たな世界への挑戦というきっかけが得られる。この本から得られた最大のメリットでした。

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