人生100年時代、この言葉もすっかり定着してきました。120歳まで見えてきているとも。
しかし、何もしなくて成り行きで長生きできる訳ではありません。
寿命が延びることは喜ばしいのですが、大切なのは健康寿命を延ばすこと。
幸せな老後を過ごす条件です。
「いつまでも若くありたい」というのは昔から人としての願望。今は情報化時代、多くの老化対策に関する情報があふれています。最新の情報を入手して豊かな老後への準備を進めていきましょう。
前回の第3弾「最高の体調」に続き、今回ご紹介するのはこちら
医者が教える 食事術 最強の教科書です。
サブタイトルは20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68
・ちまたの健康法はウソだらけ!
・カロリーと肥満は関係ない
・脂肪は食べても太らない
・運動は食後すぐがいい
食の教養は健康格差社会を生き抜く武器だ!となかなか刺激的なコピーが躍っています。
生化学×最新医療データ×統計データから、医学的エビデンスに基づいた、本当に正しい食事法を1冊に網羅!とあり、具体的な老後生活の参考書として有効と思われるところがたくさん紹介されています。豊かな老後を過ごすための秘訣、学びましょう。
医者が教える 「食事術」 最強の教科書 牧田善二
牧田さんは糖尿病、生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。
現在までに20万人以上の患者を診ていらっしゃる糖尿病専門医です。
糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を5年間行っています。
AGEとは終末糖化産物と訳されるタンパク質や脂質がブドウ糖と結合してできるたちの悪い物質。
「老化をとめる本」「糖質オフのやせる作りおき」「眠れなくなるほど面白い図解糖質の話」他、著書多数。
牧田さんは健康格差が広がっていることが見て取れ、健康上流は2割で、残り8割は健康下流だと。
この格差をつくりだしているのが「日々の食事」。食の大切さを高級車でも不純物だらけの怪しいガソリンを入れたらうまく動かないと例えられています。
・じわじわと増えてきた体重が落ちない
p7
・血圧が高いと指摘された
・疲れやすい
・仕事中に眠くなってしまう。
・集中力が続かない
あなたも色々な不調を抱えていることでしょう。
実は、そうしたことの根本原因は、「血糖値」にあります。
ビジネスパーソンを悩ませる病気や不調の9割以上は血糖値の問題です。
俗説・自己流健康法にダマされない。
・仕事の前にはエナジードリンクで気合を入れている
p9
・栄養を考えて毎朝シリアルを食べている
・野菜不足を「1日分の野菜ジュース」で補っている
・カロリーをとり過ぎないように脂質を常に控えている
・筋肉をつけるためにプロテインを摂取している
・時間があればジョギングしている
・好きなお酒を控えている
自称「健康に気を遣っているビジネスパーソン」から聞くこうした工夫は、まさに「病気になるための努力」と言っても差し支えりません。
どうでしょう?私はいくつかやっちゃってました。
太る→老ける→病む、この負のスパイラルから脱するためには血糖値のコントロールが必要だと。
本書は序章で「血糖値」の大問題を、第一章で「医学的に正しい食べ方」、第二章から第五章までは「肥満」「老化」「病気」がどのように起こるかというメカニズムの説明、最後の第六章で「長生きの10大ルール」を見ていきます。
シニアライフハックでは、全体の簡単な抜粋と老後生活で気になるところである
第4章 見た目・気力・体力を衰えさせない!老けない食事術
第6章 100歳まで生きる人に共通する10のルール
この2つの章について簡単に要約説明をしていこうと思います。
今回紹介できないところも、重要なポイント盛りだくさんです。
興味がある方は、ぜひ本書をお手に取りじっくりとご覧いただくことをお勧めいたします。
血糖値のコントロールが最大のカギ
血糖値が高い状態が肥満をつくる
あなたが太るのは脂っこい食べ物をとったからではなく「血糖値が上がったため」です。逆に、血糖値を低く抑えることができれば、肉を食べようと、揚げ物を食べようとあなたは確実にやせていきます。
p31
太っている人が「やせなさい」と医者から言われるのは、肥満があらゆる病気の引き金になることはもはや疑いの余地がないからです。脳疾患や心疾患、がん、認知症など怖い病気はみんな肥満と関係しています。
太るのは血糖値が上がったため、そして肥満はあらゆる病気の引き金に、と著者は警鐘をならしています。
体重や食事のことは気にしていましたが、私は血糖値のことは正直意識していませんでした。
血糖値が安定しないとイライラ、眠気、倦怠感、吐き気、頭痛といった不快な症状も招くそうです。
驚いたのは、血糖値を上げるものは糖質で脂質やたんぱく質ではないということ。
糖質は炭水化物と言い換えることができ、ごはんやパン、麺類、果物、ケーキやせんべいなどのお菓子、清涼飲料水など様々な食べ物に含まれています。いつも普通に食べているものばかり、日常生活で血糖値が上がるわけですね。
現代人は飢えてもいないのに脳の快楽の為に糖質をとっているとのこと、現代人が食べ物を変えてしまったのだとおっしゃってます。今生きる私達にはピンときませんが人類の歴史を紐解けば食生活は大きく変わってしまったことは理解できます。では、どう対処すればいいのでしょうか。
それは、食生活の改善、本来あるべき姿に立ち返ることが必要とのこと。
現代の日本人が、より縄文人のDNAを強く受け継いでいることが証明されました。
ですから、本来であれば縄文時代にはなかった食べ物は口にするべきではないのですね。
縄文時代は白米や白い砂糖、ましてや甘い清涼飲料水や野菜ジュースは存在していなかったわけで、手軽さや美味しさだけを求めた現在の食べ物がよくないことは想像に難くありません。
「食事」は健康格差を生き抜く最強の教養である。
正しい知識を身につけて、自分の未来を守りましょう。著者の言葉には説得力があります。
医学的に正しい食べ方20・・・食事の正解
医学は日々進歩しており、昨日まで「いい」と言われていたことが「悪い」に変わることはしょっちゅう起きます。そうゆう状況にあって最も知的な態度は、人体のメカニズムを前提にして「冷静に最新の情報を得る」ということにつきるでしょう。少なくとも俗説や非科学的健康法などに飛びつくことはありません。
p74
著者は医学論文を原語で読むことを日課とされています。その著者が、最新医学に基づく「新しい常識」と「体にいい食べ物」についてまとめてくれています。一部紹介しますが詳細は本書をご覧ください。
正しい食べ方、新しい常識として、太る原因は油でも肉でもなく糖質である(糖質≒炭水化物)、カロリーを減らしても絶対にやせない、肥満は血糖値が上がることで起きるの他、脂肪は食べても太らない、コレステロール値は食事ではほとんど変わらないなど食べ物に関する最新の情報が紹介されています。
私が特に興味深かったのは、果物は太るということ。健康にいいと思って積極的に食べていたのですが、果物が太るのは医学的に明白で果糖だからこそ太りやすいとのこと、ましてや100%だからいいと思っていたオレンジジュースやリンゴジュースは明らかに急激な糖分を摂りすぎることになりNGということが良く分かりました。前々から気になっていたハムやソーセージについても、発がん性はすでに立証された事実で加工肉の発がん性はWHOの発表で明らかになってるとのことです。
体にいい食べ物も数多く紹介されています。
オリーブオイル、ナッツ、ワイン、チョコレート、大豆、チーズ、ブルーベリー、コーヒー、酢、生もの、これらがなぜ身体にいいのかが丁寧に説明されていていますので、ぜひご覧ください。
病気を遠ざけ活力を取り戻す!やせる食事術・・・なぜ太るのか
まず覚えてほしいのは、脂肪を食べたから体の脂肪が増えるのではないということです。
p98
食べたものは、消化・吸収の過程で、新しい物質に分解・合成されていきます。脂肪を食べたから、そのまま脂肪になるというのではなく、糖質を過剰摂取してブドウ糖が余ると中性脂肪が蓄積されるのです。「使いきれなかったエネルギー」と考えていただければいいでしょう。
余ったブドウ糖は膵臓からインスリン出て処理されます。ブドウ糖をグリコーゲンに変えて肝臓や筋肉の細胞に取り込むんですね。しかし、この量には限界があり、さらに余ったブドウ糖は中性脂肪に形を変えて脂肪細胞に取り込まれるということです。これが肥満の原因だったんですね。ぽっこりお腹の脂肪は油の摂取ではなく糖質の過剰摂取が原因ということがわかりました。
この問題の糖質ですが、生命維持のために不可欠な栄養素であって適切な量を摂取することは必須です。過剰摂取がいけないわけで悪性度の違いを知ることが大切、摂取する時に気を付けることとしてのアドバイスが書かれています。すごく気になると思いますので少しご紹介させていただきます。
まず糖質の悪性度について「悪性度ベスト5」が紹介されています。
何のことかわかりますか?考えてみてください。
①糖質中毒で飲んでいる、②白い砂糖は不自然なもの、③いまの果糖は糖度が高くなるよう改良されている、④単品物は特に糖質摂りすぎになるので注意、⑤糖質であることには変わりないので食べすぎは注意、これらに該当する食べ物が悪性度が高いということです。
また、食べる順番や回数、朝昼夜の食事配分についても納得の説明がなされていました。
因みに、朝昼夜の食事配分は「3:5:2」が理想で、朝は王様のように、昼は貴族のように、夜は貧者のように食べなさいとのこと。例えも面白くて読んでて飽きません。
他にも海藻やキノコを積極的に食べる、タンパク質は動物性と植物性をバランスよく、水を1日2リットル飲む、オリーブオイルはやせる、辛口の白ワインはやせる、が紹介されています。
見た目・気力・体力を衰えさせない!老けない食事術
私たちが生きるために絶対に必要なものが、ブドウ糖と酸素です。このどちらかがなくなれば、私たちは命を落とします。しかし、皮肉なことに、ブドウ糖と酸素こそが私たちを老化させる原因ともなっているのです。
p186
ブドウ糖と酸素が結びつくことで、水と二酸化炭素とエネルギーが生産されます。この過程で、ブドウ糖が原因の「糖化」、酸素が原因の「酸化」という悪い作用が起きます。糖化も酸化も、私たちの体のあちこちを傷つけ老化させます。
酸化は錆びる事。糖化は体が焦げる状態、タンパク質や脂質がブドウ糖と結合することで劣化する反応のこと、AGEというたちの悪い物質ができます。
AGEは体内で作られる一方、食品にも含まれます。こんがりと焼けた焦げのような部分に多く含まれます。
AGEが増えないように気をつけることが老化を遠ざけること。このAGEこそが、ありとあらゆる病気や老化現象の真犯人だということがわかっていますので毎日の食事についての知識が必要となります。
ありがたいことに、老化を遠ざける食事ということで具体的に示されています。
マリネするだけでAGEは減る、カルノシンが老化を防止する、ビタミンB1・B6がAGEを抑える、ポリフェノールで若返る、スパイスは老化防止に効くなど詳しく若さを取り戻す方法が満載。
お酢の効果がAGEにもあることや、ウナギや鶏肉、マグロに含まれるカルノシンに強い抗酸化力があることなど知っておいた方がいい情報ばかりです。
長寿者のルール
長寿者たちの生活について、研究や調査がなされてきて結果わかっているのが、もともとの遺伝的体質が違う人たちが集まっているはずなのに、健康長寿の人が多い地域や、逆に寝たきりの人や短命者が多い地域が存在するということです。
p253
つまり、持って生まれた体質よりも、食事をはじめとした生活習慣が「長生きできるか短命か」に大いに関与していることが統計的に明らかになっているのです。
実際長寿者が多い地域をレポートしまとめた「ブルーゾーン」という書籍があり、100歳を超えるような長寿者が多い地域を取り上げています。
具体的にはイタリアのサルディーニャ島中部、沖縄北部、アメリカのカリフォルニア州ロマリンダ、コスタリカのニコジャ半島の4つの地域。日本の沖縄も世界で4本の指に入る長寿地域なんですね。
面白いのはこの沖縄でも北部と南部では寿命が違うということです。北部は昔ながらの風習が残っているし、南部はアメリカンナイズされた文化に変わり食生活も変わっている、このことが寿命の違いを生みだしている、生活習慣が寿命に大きく影響している裏づけになっているということです。
生活上の共通点ということで、色々なポイントが紹介されています。
肥満・老化・病気を遠ざける真のスーパーフードとして豆腐をたくさん食べることや、多くの種類の野菜を食べることの大切さをはじめ、足腰を鍛える運動、労働の大切さ、生きがいを持つなどが紹介されています。食事や身体を動かすこと、気持ちの持ち方や健康管理など、まさしく生活における在り方の紹介。
個人的にうれしかったのは、「アルコ―ルをたしなむ」とあること。赤ワインには抗酸化作用が、辛口の白ワインにはやせる効果が、医食同源の中国でも7000年前からお酒は飲まれているとのこと。
実績にまさる説得力はありません、この章をよく読みこんで自分の生活習慣に取り入れたいですね。
糖質、酸化と糖化、定期的な医者での健康チェック、これらをしっかり意識することを忘れず「いい仕事をするためには、なによりも健康が大事」、「自分の健康は自分で守る」、このことを胸に刻んで生活を整えていきたいと思います。多くの具体的な学びが得られたことが本書の大きな成果です。