甲州街道 その2 内藤新宿→上高井戸 16km
甲州街道その2では、内藤新宿から→笹塚→下高井戸→上高井戸まで歩きます。
距離は16,0Km、所要時間は4:05時間、消費カロリー2,381kcal、歩数19,154
※画像はクリックすると拡大でご覧いただけます。
内藤新宿→笹塚 6,7Km
その2は新宿三丁目交差点からスタート。
東京の郊外には、7号(環七)、8号(環八)と順に外側へ広がっていく環状道路が。
6号(環六)は、山手通りと呼ばれ品川から板橋へ続く山手線に一番近い環状道路。
本日目指す上高井戸はこの環状8号線の外側ですから、結構遠いイメージが。
大丈夫かな?と不安を覚えつつ出発です。
新宿四丁目に向かいます。交差点を過ぎるとすぐ、左手に立派な門が見えてきます。
扉には大きな徳川葵のご紋。
こちらが曹洞宗 護本山 天龍寺。
江戸城裏鬼門鎮護の役割を帯びてた寺です。
江戸城鬼門鎮護はご存じの上野寛永寺。
こちらには内藤新宿に時刻を告げた
「時の鐘」があります。
歴史を感じさせてくれますね。
夜通し遊興する人々を追い出す合図として「追出しの鐘」と呼ばれ、通常より早く鐘を鳴らしたとあります。
朝帰りを気遣う粋な計らいです。
新宿南口に向かって進むと、左手には昔お世話になった新宿のJRA場外馬券売り場が。
駅前というか、駅上にはバスタが出来てすっかり様相が変わった南口。
バスタは一日発着1500便以上、300都市を結ぶ高速バスターミナル。
昔は新宿界隈でバラバラだった発着所が一カ所に集約された訳です。
便利になりました。
初めて知ったのですが、九州は博多まで行く高速バスもあるんですね。
バスタ、新宿を21時に出発、小倉に翌9:51、博多は翌11:17分着とあります。
夜行列車や夜行バスを数多く利用した私としては興味がそそられます。
西新宿の交差点を過ぎると左手に文化学園、右手に新宿ワシントンホテルが。
1983年オープン当時は磁気カードを使った自動チェックイン装置がある最新式のホテルだった記憶が。
今は随分年季が入ったホテルになってしまいました。若かりし頃、新宿で遅くまで飲んで帰れなくなったときにお世話になったものです。
このあたりは都庁が移転し新都心と呼ばれ、淀橋浄水場の後にあっという間に高層ビルが立ち並んだエリア。
私たちの世代には刑事ドラマの「太陽にほえろ」の舞台といえばピンときます。
裕次郎さん演じるボス、山さん、長さん、マカロニ、ジーパン、スコッチ、そしてラガーまで、、、
今は亡きメンバーとなってしまいました。
たくさんの想い出をありがとう。
合掌🙏
更に進むと左手に立派な木と石の鳥居があります。天満宮、樹齢約300年の箒銀杏。
離れた場所から眺めると箒を逆さにした形に見えるところからこの名が。
ビルの合間のこの風景
なんだか哀愁を感じます。
すぐ先に諦聴寺、並んで正春寺と続きます。
こちらは渋谷最古といわれる木造聖徳太子立像が安置されており正春寺は二代将軍秀忠の乳母「初台の局」の菩提寺。
初台の地名の由来ということ。
オペラシティを見上げ、首都高速を見上げ、新国立劇場の横を笹塚方面へ進みます。
代々木警察署手前のコンビニの横を入って少し歩くと旗洗池跡、洗旗荘というマンションの入り口です。
後三年の役ののち八幡太郎義家が上洛の時に、この池で白旗を洗って傍らの松にかけて乾かしたとされる伝説があるそうです。
残念ながら池は埋められて記念碑だけが残されています。
幡ヶ谷に向かって進むと歩道橋の袂に子育て地蔵尊、笹塚交差点手前に牛窪地蔵尊。
地蔵とは民衆の苦難を除き、福利を与えることを願いとする仏のこと。
ときには身代わりとして現れ、ときには地獄に落ちた民衆を救ってくれるありがたい存在だったんです。
牛窪地蔵尊の横には1806年造立の道供養碑
江戸の道供養信仰を知ることができます。
こちらは道路自体を供養して報恩感謝の念をささげることで交通安全を祈ろうとする供養碑ということです。
笹塚→下高井戸 3,7Km
笹塚駅を過ぎると右手に笹塚一里塚跡、更にその先右手に庚申塔があり青面金剛像が安置されています。
庚申信仰は「猿」と「申」との混同から、庚申の日に猿田彦神をまつるようになったそうで、像の下に三匹の猿が彫ってあります。このように歴史を知りながら見て歩くと風景も変わります。
玉川上水が左手に見えてきます、代田橋跡を過ぎ駅方向大原稲荷神社へすすみましょう。
線路沿いにあり、こじんまりとしていますが凛とした空気が流れ風格が感じられます。
この地の鎮守様で酉の市も立つそうです。参道入り口には、「北向子育地蔵尊」が安置されていました。
松原交差点を過ぎると明大前。京王線と井の頭線が交わる人気の街。
右手路地裏に和泉村庚申塔、その先明大和泉校舎沿いに塩硝蔵地跡の案内があります。
この辺りは江戸幕府の鉄砲弾薬等の貯蔵庫として使用された跡。
明治維新で官軍に接収、その後陸軍省和泉新田火薬庫として再開、大正末期に廃止されたそうです。
明大前駅、開業時駅名は「火薬庫前」。
住みたくない駅名ですね。
明大のキャンパスを過ぎると
築地本願寺和田堀廟所。
墓地には有名著名人のお墓が多くありますので興味がある方は調べていてください。
樋口一葉、海音寺潮五郎、古賀政男、あの佐藤栄作元首相のお墓も。
この先松原二丁目の交差点から右に入るとお寺が続きます。首都高永福料金所の下。
明暦の大火、関東大震災、区画整理など様々な理由で大正、昭和初期に移って来た寺院です。ずらりと並んでいます。
順番に見ていきましょう。
浄土真宗本願寺派三宝山真教寺、宗祖親鸞聖人が八十歳の時の自作といわれる親鸞座像が安置されています。
真宗大谷派光栄山託法寺、本尊は阿弥陀如来立像、像高は九十センチ寄木作りで江戸末期の作。
浄土宗真本願寺派光山善照寺、当初は相州小田原に開創され天正八年秀吉の小田原城攻略の際に罹災、その後、江戸に移り再興の歴史があります。
浄土真宗本願寺派水山淨見寺、開山は釋教心で1,610年、現京都伏見区開創しその後江戸浜町御坊の寺中に移転明暦の大火等に遭い移転を繰り返し現在に至ります。
浄土真宗本願寺派寂静山潮音閣法照寺、相州鎌倉で開創、湯島、浜町と移転してきた。墓地には歌舞伎立役名優、初代市川団蔵が眠っています。
浄土宗栖岸院、本寺は京都の知恩院。開祖は老中安藤重信で改めて開創、江戸時代は住職が将軍に単独で拝謁のできる「独礼の寺格」を許されていました。
曹洞宗天長山永昌寺、本尊は木造釈迦如来坐像、門前と境内には江戸時代建立の四基の庚申塔と二基の地蔵塔があります。
曹洞宗嶺玉山龍泉寺、六地蔵、北向地蔵共に熱病などに大変霊験あらたかと篤い信仰を集めていたと伝えられています。
寺院巡りの後は下高井戸橋から玉川上水の上に作られた玉川上水公園を歩きます。
もう下高井戸。
下高井戸宿の宿内家数は百八十三軒、うち本陣一、問屋一、旅籠三軒、人口は八百九十人、と甲州道中宿村大槻帳に記されています。
下高井戸→上高井戸 5,6km
甲州街道を進み桜上水駅北の交差点まで歩いてくると右手に見えてくるのが日蓮宗清月山覚蔵寺。
日蓮上人直刻の鬼子母神像が安置されています。
すぐ隣は叡昌山宗源寺、十界諸尊を本尊とする日蓮宗の寺院。
この不動堂はかって高台にあったため、「高井堂」と呼ばれ
それが「高井戸」という地名の起源になったとする説もあるそうです。
鎌倉街道入口を過ぎて首都高速が大きく右に曲がっていく高架下手前に、江戸日本橋から四里目を示す「甲州道中一里塚跡」の解説が日本橋から16kmの現在の案内と一緒にあります。
塚は約メートル四方、高さ3メートルを基準として土を盛り上げて築き、榎が植えてあったそうです。
上北沢駅入口の交差点を過ぎて左折して京王線の線路沿いを行くと山谷稲荷神社。
1,614年創建、境内に二十五貫(93,75kg)と刻まれた力石がありました。持てません!
八幡山の駅を過ぎて上高井戸一丁目の交差点を過ぎるとすぐ二股に道は分かれて左側の旧甲州街道に入ります。
このあたりが上高井戸宿、標識はありませんが武蔵屋本陣跡です。
上高井戸宿の宿内家数は百六十八軒、うち本陣一、問屋一、旅籠二軒、人口は七百八十七人と下高井戸同様、甲州道中宿村大槻帳に記されています。
下高井戸宿とは合宿で問屋業務は月十六日から月末までを勤めていたそうです。
旧道に入るとすぐ右手に読みづらくなっていますが井之頭弁財天道道標が確認できます。
左下には「是ヨリ一里半」の文字。井の頭公園の池岬にある弁財天は関東源氏の祖、源経基の創建。
伝教大師作の「天女神」を祀ってあります。
本日のゴール、芦花公園駅に向かうと左手に萬年山長泉寺があります。曹洞宗の寺院で本尊は大日如来坐像。
本堂前の観音堂は「円通閣」といい、西国三十三ヵ所の観音像が安置されています。
かって境内では、四月に「長泉寺の馬駆」、八月に「長泉寺の相撲」が行われ、近村にも有名だったとか。
今回歩いた内藤新宿から上高井戸までは庚申塔や寺社がとても多かったです。
それらにまつわる歴史を知ることで徳川幕府、武家政治の強固なガバナンス力、信仰心から成り立つ庶民の豊かな生活などに触れることが出来て歴史観が変わりました。
今失われた大切なもの、はっきりとは私にもわかりませんが、何か生き生きとした人の息吹、生きる大切さを感じられる気がしたんですね。いい時代だったんですよ、江戸は。
普段何気なく歩いている道も時代背景を知ると当時の足音さえ聞こえてくるよう。
時間はつながっているという実感です。
次回は府中目指して歩きます。
道中どんな出会いが待っているか。
食べる楽しみが今回なかったのが
少し残念でした。
茶屋とか蕎麦屋とか探すことにします。
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