シニアライフ 老化に負けない豊かな老後 第5弾「腎臓が寿命を決める」 黒尾誠

腎臓が寿命を決めるシニアの参考書
photo by ゆう

前回の第4弾「医者が教える 食事術」に続き、今回ご紹介するのは「腎臓が寿命を決める」です。
サブタイトルは、老化加速物質リンを最速で排出する。
そして帯には、45歳以上の1/4はすでに危険な状態というショッキングなコピーが。

人間はなぜ老化するのか、人の寿命の長さはいったい何によって決まっているのか、この問題を解き明かす重要な手がかりが「腎臓に合った」と言ったら、みなさんは驚くでしょうか。
こんな問題提起からはじまる本書はシニアには必読書と思われます。
今回は知らないことが多かったので、少々長くなりますが簡単に全体を要約してみたいと思います。

「沈黙の臓器」が今、語りだす——普段あまり気にすることがなかった臓器「腎臓」。
豊かな老後を過ごすための秘訣、学びましょう。

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「腎臓が寿命を決める」 黒尾誠

著者の黒尾誠さんは自治医科大学分子病態治療研究センター抗加齢医学研究部教授。
腎臓とリンの関係から老化の仕組みを解明する研究を続けていらっしゃいます。

余分なリンを腎臓から排出させる老化抑制遺伝子「クロトー」を発見。
クロトーとは命の糸を紡ぐギリシャ神話の女神に因んで名付けられたそうです。
クロトー欠陥マウスはなぜ早く老いるのかの研究をはじめ、老化研究においてグローバルでご活躍中です。

研究室では下記3つの仮説を証明することを目指されています。
・リンが老化を加速する
・慢性腎臓病はリンが原因の早老症である
・Klotho-FGF内分泌系は老化関連疾患の治療標的である

ゆう
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腎臓と言うと「おしっこをつくっている臓器」ぐらいのイメージしか浮かびませんが
腎臓は「生体内の状態を一定に保つ」ことによって私たちの命を守ってくれています

不必要なものは尿とともに排出、必要なものは体に戻して常に過不足のない状態をコントロール。
この管理調整機能がキープできているかどうかが老化や寿命に深く関係していることが分かってきたのです。

また、リンという成分が動物の寿命に関係していて、血液中のリンが少ない動物ほど寿命が長い傾向があることが分かりました。リンを体内から排泄して調整しているのは腎臓です。
地味な存在でしかなかった腎臓とリンが、じつは私たちの老化や寿命のカギを握っていたのです。

腎臓が寿命を決めていた

摂りすぎてはいけないものというと、糖分、塩分、脂肪分が浮かびますが、他にも過剰摂取に気をつけなくてはいけないものがあります。それが「リン」です。リンはカルシウムと共に骨を形成している成分です。
80%はリン酸カルシウムをつくり、骨の主成分となっています。またDNAや細胞膜の主成分でもあります。

リンを摂りすぎていると次第に腎臓の機能が低下したり血管や細胞がダメージを受け老化のスピードが速まっていくことになります。余分なリンを体内にため込まないためにも「出す力」をしっかりキープ、腎臓の機能をしっかり保っていかなくてはならないのです。


腎臓は体に中の必要なものと不要なものを仕分けして血液や体液の成分バランスを調整しています。
各臓器とネットワークを構築し管理人としての仕事を行っているのです。
血液をきれいにしている濾過装置でありその主役となっているのがネフロンです。
このネフロン数の減少にもリンの摂りすぎが大きく影響していることも分かってきました。

腎臓とリンと老化というワードをつなげるきっかけとなったクロトー遺伝子を30年ほど前に著者は発見。

ゆう
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クロトー遺伝子はリンの排泄依頼を受け取る「メールBOX」の役割
排泄依頼を出すホルモンFGF23を受け取る受容体の役割を果たしているのです

FGF23欠損マウスにも、クロトー遺伝子欠損マウスにも老化加速現象があらわれています。
血中リンが高濃度になると細胞毒のように働き、血液が流れる全身が毒にさらされ血管はボロボロになり、臓器や細胞もダメージを受けることになります。これこそが「老化の加速」だとにらんでいます。

リンが老化を加速する

人間の骨はリンとカルシウムが結合したリン酸カルシウムで出来ています。
リン酸カルシウムでできた硬くて丈夫な骨でしっかり体を支えているから地上で重力に負けることなく活動が出来るという訳です。リンとカルシウムのおかげで体を支えたり動かしたりできているようなものです。

しかし、もしこのリン酸カルシウムが骨以外のところへ溶けだしてしまったらどうなるのでしょう。
じつは非常に厄介な事態を引き起こし、老化や寿命に少なからぬ影響を与えるようになっていくのです。

析出 CPP

このリンとカルシウムのペアは、体の中で析出しやすいことが知られています
析出とは液体などの固体以外の状態にある物質が、固体として現れる現象。
リン酸カルシウムは体の中でいつ固体化(結晶状)してもおかしくない状態にあり、常に危険と隣り合わせ。
血管など骨以外の組織でリン酸カルシウムが析出すると、その組織に石灰化を引き起こし、組織の機能が低下し不調や病気が発生、老化がどんどん加速していってしまうようになるのです。

リン酸カルシウムは普段はタンパク質とくっついてコロイド粒子の形で血液中を移動しており、コロイド粒子はCPPと呼ばれています。つまり、このCPPこそが健康被害をもたらしている実行犯。本当の悪者はCPP。

動脈硬化

CPPが引き起こす主な症状として動脈硬化があります。動脈硬化は2種類。

ひとつは粥状(じゅくじょう)硬化による動脈硬化、コレステロールなどの脂が血管(壁)にたまって血液の通り道を狭めるタイプで良く知られています。血管を塞いでしまうと血流が堰き止められ、脳卒中や狭心症、心筋梗塞を起こす大きな原因となります。

もうひとつが血管石灰化によって起こる動脈硬化です。

ゆう
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これはCPPが引き起こす動脈硬化で血管が石灰化によって硬くなるタイプです
血管が硬くなり柔軟性を失い血液の流れ方や血圧変動に悪影響が、臓器障害などの原因に

「非感染性慢性炎症」

CPPは細胞にも悪さを働きます。
細胞に毒として作用し、細胞障害や細胞死が発生、低レベルの炎症を起こすようになっていきます。
この炎症は自然に起こる免疫反応。異物のようなもので免疫システムが作動することになります。

何も感染していないのに低レベルの炎症反応が継続的に現れる「非感染性慢性炎症」が問題になっておりがんや心臓病、肥満、アルツハイマー病を引き起こしたり老化を加速させると考えられています。

この炎症を起こす病原体のひとつがCPPではないかと思われています。
CPPそのものが病原体と見なされ免疫細胞との間で炎症反応を引きおこし様々な病気を招くことにつながっているというわけです。CPPの怖さがお分かりいただけましたか。

慢性腎臓病

腎臓は臓器を管理するパソコンのOSのような存在です。このOSがじわじわと弱っていく病気が慢性腎臓病。
日本では約8人に一人の1300万人以上が罹っている国民病と言っていい疾患です

OSが弱り、体にリンが溜まってしまう病気が慢性腎臓病、ネフロンの数が少なくなり続けると尿毒症を起こし、人工透析・腎臓移植をしないと生きていけなくなります。
透析が必要な患者さんの数は30万人を超え、さらに毎年1万人のペースで増え続けているとされています。
経費も1,3兆円使われていて保険制度を圧迫しています。
リンやCPPを治療標的とすることで、コントロール可能な病気であると著者は考えていらっしゃいます。

FGF23の値

腎臓が悪くない一般の方も十分気をつけなければいけません。
リンの摂りすぎを警告するサインのようなものであるFGF23の値ですが黄色信号は53以上です。

45歳以上の4分の1の方がこの数値を超えていたという研究結果があります。
予備軍が25%というのは無関係とは言ってられませんリンに気を配って腎臓を守っていくようにしましょう。
OSを弱らせてしまう前に、早め早めに手を打っていくようにしなければいけません。

ゆう
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   ↓↓↓ ここまでの「まとめ」です ↓↓↓   

こちらの概念図はゆうが内容を基に理解しやすくするために主観で作成したものです
ゆうの見解であり、著者作成の物ではないことをご了承ください

「リンを減らすこと」は最強のアンチエイジング

老けやすさや若々しさに差がつく原因は老化加速物質リンにあります。必要以上に摂取すると腎臓の機能は衰え、血中リン濃度が高まるとCPPが増えて血管や細胞に障害をもたらし老化や病気に繋がります。

ゆう
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日々のリン摂取量の影響が大きいということ、すなわち普段の食生活で口から入るリンの量を抑えていれば老化のスピードを抑えられる可能性が大きいということです。

リンは2種類、「有機リン」と「無機リン」です。吸収されやすいタイプとされにくいタイプがあります。

有機リンは肉類、魚介類、卵、乳製品、穀物などに広く含まれているリン。
タンパク質含有量に比例することが多い。但し体内への吸収率は20%~60%と食品によって違いがある。
動物由来の有機リンは体内へ吸収されやすく、野菜などの植物由来の有機リンは吸収されにくい傾向がある。

無機リンは食品添加物として使用されているリン。ソーセージやハム、ベーコンなどの加工肉、干物や練り物、スナック菓子、インスタント麺、ファストフードなど、ほとんどの加工食品に含まれる。
体内への吸収率は90%以上で口から入ったものは全て吸収されると思った方がいい。

身近な食品に含まれる有機リンの場合、単にリン含有量だけでなく吸収率も考えたうえでどんな食品に注意するか判断しいかなくてはなりません。ここに挙げた食品は「絶対に摂ってはダメ」というわけではありません。「リン」という視点から見た食品の特徴であくまで参考知識として理解しましょう。
多い人は気をつける程度の注意でかまわないそうです。

摂りすぎに注意した方が良い食品は、肉類、牛乳、プロセスチーズなどの乳製品、骨ごと食べる小魚、魚類、ナッツ類、ソバやラーメンなどがあげられます。

ゆう
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しかし、無機リンの方は違います食品添加物に入っているリンは、日々意識して減らしているかどうかで摂取量に大きな差がついてきます。

リン制限のターゲットは無機リンです。
しかし、日本では事実上、加工食品中のリンは細かく表示しなくてもいい状態、リン添加物が野放し状態です。どの食品にどれだけ使われているのか皆目分からない状態に陥っています。

このような状態の中、どうやって添加物中のリンを減らしていくか。手っ取り早いのは、「食品添加物が多そうなものはなるべく食べない、買わない」この戦法を貫くのが一番の近道ということになります。
「食品添加物カットによるリン制限」自分なりの基準を決めて無理のないところからスタートしましょう。

食品添加物を減らしたい人のための12の心得の紹介

どういった基準で食品添加物をカットしていけばいいのか、参考として12の具体例が示されています。

①ハム、ソーセージ、ベーコンなどを減らす
 普段から「加工肉はリンが多めだから気をつけよう」という意識を持ちましょう

②魚肉ソーセージ、かまぼこ、練り物などを減らす
 加工肉と同様に水産加工物にも添加物が多めに含まれています

③なるべく「元の素材が分かる食品」を買う
 元の素材やかたちが分からないものには添加物が含まれているケースが多い

④カップラーメンを減らす
 カップ麺はたいへん便利ですが、添加物も多く使用されている食品です。

⑤「とんでもなく日持ちがするもの」は買わない
 何か月も日持ちがするということは、それだけ多くの添加物が使われている可能性が

⑥「いかにも着色料を使っていそうな食品」は買わない
不自然なくらい鮮やかな色をしているものは発色剤や着色剤を使用している可能性が高い

⑦スナック菓子はなるべく個別包装してあるものを買う
 全般的に添加物が多めです。少量タイプを買ってちょっとだけ食べる習慣を

⑧なるべく手作りのものを食べる
 スーパーやコンビニの総菜や弁当には添加物が使われているものが多い

⑨ファストフードを食べる機会を減らす
 ファストフード店で提供している食品には添加物が多く含まれている

⑩「下ゆで」「ゆでこぼし」などの工夫をする
 調理前に熱湯に10秒ほどくぐらせると、だいぶ添加物を落とせるそうです

⑪値段が安すぎるものには注意をする
 コストを下げようとしている分、安易に添加物に頼っている傾向が

⑫食品ラベルを見て「〇〇料」「〇〇剤」という表記の多いものは買わない
 このような一括名表示されている成分には、何種類もの添加物が含まれていることが多い

p143~p148

 日々意識して心がけていれば、そのちょっとした行動が積み重なって年月が経つとともに、かなりの量のリンが減らせることへつながっていくはずです。
リンの摂りすぎにブレーキをかけることができれば、老化のスピードにもブレーキをかけることができる。
老化という速い川の流れをゆったりとした流れに変えることができるのです。

運動

宇宙の無重力環境では、老化でよく見られる体の衰えが一部ものすごいハイスピードで進行します。
それは体を支える必要がなくなるからです。筋肉や骨が「体の重みを支える」という仕事から解放され働かなくてもよくなったせいで機能低下してしまうようになるのです。
骨の場合は骨密度が低下し骨粗しょう症が進みます。

このような骨量低下が進むということは、骨という貯蔵庫からリンやカルシウムが溶けだして、血中に入ってしまうことになります。リンを食べすぎた状態と同じとなり、やがて腎臓病を発症するようになっていきます。

骨低下を防ぐ治療手段は一体何か、それは「運動」です

骨という組織は荷重ストレスが増すと、そのプレッシャーに負けないようにと、リンとカルシウムを蓄えて丈夫になっていくものです。人間の祖先は地上で動くためにリンとカルシウムを骨に溜めるシステムを進化させたわけですが、動く必要がなくなると退化し老化が加速することになります。

リンが漏れ出して悪さを働くことのないよう、日々体を動かしてちゃんと骨に封じ込めておく必要が。
動くことには骨が不可欠、食べることには腎臓が不可欠。
生命活動を長く維持し続けていくには、「骨」と「腎臓」の機能を弱らせないことが非常に重要なのです

ゆう
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こちらの概念図はゆうが内容を基に理解しやすくするために主観で作成したものです。
ゆうの見解であり、著者作成の物ではないことをご了承ください
腎臓が寿命を決める 老化加速物質リンを最速で排出する (幻冬舎新書)
1日約180Lもの原尿をつくる腎臓。腎臓は原尿を「血液に戻す分」と「尿として排出する分」とに仕分けし、体内の水分、塩分、血圧などを一定に保つ。近年、血中のリンを多く排出できる腎臓を持つ動物ほど寿命が長いことがわかった。中でもハム、ベーコン、プロセスチーズ、かまぼこなどの加工食品に多く含まれる無機リンは、体内で老化加速物...ReadMore

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